たくやかつみの日記

自己顕示欲の廃棄場

肝試し編を経て

肝試し編完結


たくやかつみです。いきなり肝試し編とか何の話してるんやこいつと思われていそうなので改めてご説明。実は僕インディーズではありますが漫画を連載しております。幽霊がでた!っていうタイトルなんですけど
pixivとニコ静版のリンクを貼っておきますのでよかったら読んでみてください。スマホの方はpixiv版が推奨です。*1

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その作品の中にだいたい7話から20話くらいまでのそこそこ長い話があったんですけどそれが肝試し編です。
今回はその肝試し編の小話とか当時の心境とかいろいろ振り返っていきたいと思います。

有名な漫画家の制作秘話とかならともかく僕みたいな無名で無価値な人間の制作秘話なんか誰が聞きたがるんやという話ですがこれは完全に僕の自己満足なので気にしないでください。しかし同じように漫画家志望とかで描いてる人はもしかしたら参考になるかもしれませんよ。僕たちは似た者通しですので色々共感できるところとかあるかもしれません。はは

ざっくり説明


作者直々による物語の解説です。名のある作品であればこれほど尊いものはないでしょうが残念インディーズ作品です。
まぁ自虐もそろそろ飽きられそうなのでこの辺にしておいてざっくりと解説。細かい点とか演出については触れません。僕プロ意識だけは変に持っているのでその辺はいちいち説明しなくても知ってもらいたいので。
自分で言うのもなんですが僕読者に何が起こっているかとかどういう話なのか理解してもらえるようにすることに関してはめちゃくちゃこだわっているので正直読んでもらえれば分かると思います。なので今回はそんな作品を読むのがめんどくさいという人たちがちょっと読んでみようかなと思えるためにもあくまで粗筋あらすじを伝えようと思います。
箇条書きで

というわけであらすじです。

  1. 主人公の幼馴染が主人公を肝試しに誘う
  2. 幼馴染は幽霊に取り憑かれている
  3. 幽霊と会話できる主人公はその幽霊が幼馴染に取り憑いた経緯を聞く
  4. ずっと取り憑いていると幼馴染は死んでしまうという事実を知る
  5. 幼馴染を取り殺さないために肝試しに行くことになる
  6. 肝試しをしてなんだかんだする
  7. 幽霊自身の意思でいつでも取り憑いた対象から離れられる事実を知らされる
  8. 幽霊自己嫌悪で悪霊化、幼馴染瀕死
  9. なんだかんだで幼馴染の一命を取り留める
  10. めでたしめでたし

とまあこんな感じです。めちゃくちゃ端折ってます。詳しく知りたい方は読んでみてください。おもしろいですよ。

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ライブ感


7人の高橋さんの件があってから最低限プロットを絶対に作っておくようにしているのですが基本的に肝試し編は19話くらいまでほぼノリで描いてきました。なので本当に3日程度でネームを描き切ることもあればそれこそ3か月くらいまったく進まず苦悩することもありました。ちなみにこの記事はプロットもクソもなくほぼ考えたことをそのまま書き込んでいるのでところどころ日本語がおかしいです。何が言いたいかというとやっぱりプロットは天才でもない限りは書いといたほうがいいということです。本当に「起」「結」だけでもいいので書いておくとだいぶ安定しますし楽です。

話を戻しますが肝試し編は当時の僕のノリで描いています。つまりその時々の僕のやりたかったこととか心境が影響しているわけです。
例えば15談目あたりなんかは急にバトルを始めていますがあれは僕がバトル漫画を描いてみたくなったからです。

今回は順を追って肝試し編の最初から当時の心境とかやりたかったこととか語っていこうと思います。一方的に

序盤(6談目~11談目)


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うろ覚えですがそもそも肝試し編はこんなに長くなるはずではなかったのです。

とりあえず主人公の野田海輝って奴が霊感覚醒して幽霊見られるようになったっていうこととなんか一緒にいる柳田魂希っていう女の霊が幽霊の中だと結構階級高いっていう風呂敷を広げたかっただけでそれ以外のことは何にも考えていませんでした。
この頃はなんというかよくプロの作家さんとかが言ってる「キャラが勝手に動く」っていうやつに憧れていたのを覚えています。実際肝試し編以前はキャラクターの名前すら決めていませんでした。名前は字画占いを参考にして、占いで出た結果やそれ以前の1~5談目(出会い~ゴキブリ編)でなんとなくで出来上がった人格をさらに正確に固める形でキャラクター像を作り上げました。最初のほうはこいつならここでこういうこと言うやろなとかこういうことするやろなとかそんなノリでやっていました。やってみると意外と簡単にできました。幽霊トンネルで肝試しをするまではある程度内容が決まってたしそこから外れないようにキャラクターを撮っていればいいだけなのでこの頃は結構安定して更新できていたと思います。

三井マモ(12談目)


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明確にキャラどころか物語自体が勝手に動き出したのはここら辺からでした。
それを象徴するのがこの三井マモというキャラクターです。

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自分でも不思議なのですがこの子ポッと出なのでストーリーと全く関係ないんですよ。言っちゃなんですがいてもいなくてもいいというか……でも個人的にこの子すきなんですよね。いいキャラしてます。髪型描くの難しい*2ですが……。

三井の登場で物語は若干暴走してきます。最初は適当に肝試しさせて終わりだったのですがこの子が出たことにより最終的に元ホスト設定の彼は悪霊化させることになってしまいました。

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ホストさん(飛田裕也)



そうなった経緯を詳しく書き始めるときりがないので今回はもう割愛しちゃいますがまあ最終的にこれをきっかけに肝試し編全体の構想がなんとなくできあがったので結果オーライです。

謎のバトル展開(13談目~16談目)


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トンネルに入ってからはちょっと戦闘シーンがでてきます。なぜならこの時の僕はバトル漫画を描きたいと思っていたからです。わかりやすいですね。そしてこの頃から異様にコマ割りとかにこだわるようになります。どういう視線誘導をすれば動いているように見えるのかとか、どういう構図が最適かとか、そんなことをあれこれやっていたのでネームに何か月もかかっていた気がします。結局実力不足なので盛り上がりに欠けるバトルシーンになってしまいましたが……。

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今思うと軽いスランプです。精神的に不安定になってきたのもこのあたりからでした。

悪霊概念(17談目~19談目)


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謎のバトル等で散々寄り道しましたがついに物語はクライマックスに突入します。

ホスト君を悪霊化させるのはマモちゃんを出したあたりで思いつきました。それまでは本当にいい感じでキャラクターを勝手に動かすということが実現できていたので特に結末とかは考えていなかったです。マジで。

理不尽さ

僕は理不尽な展開が嫌いです。なぜなら腑に落ちないからです。なので今回の「取り憑くのは幽霊側の意思であり離脱は自由」という設定は我ながらよくできたなと思っています。この設定によりホスト君は自己嫌悪に陥るという自然な形で悪霊化することに繋がりました。この設定がなければホスト君が悪霊化した理由が「自己嫌悪」という理屈ではなく「時間経過」という理不尽なものになっていたでしょう。そのほかにもこの設定は多数の矛盾や理不尽な展開を解決してくれました。

これは僕の好みの問題なのですが僕は理不尽だったり腑に落ちなかったり中途半端な設定や展開がすきではありません。

だいぶ抽象的で説明しずらいですが例をあげると「AかBしか選択肢がなく、メタ的に見ればCのような最善の選択肢もあることはあるがそれはなんらかの理由により選ぶことが不可能な展開」とかです。だいたいそういった設定や展開は物語のマンネリ化やバランス崩壊を防ぐための調整にやむなく活用されることが多いですが僕はそういう設定は極力使いたくありません。

 

というわけでホスト君は悪霊化してしまうのですが……

 

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浮遊霊の女の子に喝を入れられ正気に戻ります。

 

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ちなみにこの女の子はただ単に僕が女児を描きたかっただけです。この女の子の過去はもうちょっと深く掘り下げたかったのですが時間かかりそうだったので1ページ弱の簡単な回想で済ませました。
この時期はとにかく妥協することを意識していました。
妥協し無駄な要素を極力取り除くことによってテンポを良くしようという考えです。
バトルを展開していた頃とは何もかもが正反対ですね。この頃はスランプとか7人の高橋さんを描いていたこともあってだいぶ更新頻度落ちていましたがとにかくテンポよく早く終わらせることを意識していました。

時間をかけて長考し、高品質に仕上げることは大事です。しかし現実。読者は細かいところまで見ていません。かくいう自分もそうです。それに僕の場合そもそものスキルが低いのでいくら丁寧に描いてもある程度限界がありますし長時間かけて中途半端なものを仕上げるよりは場数を踏んだほうがいいと思うんです。

蛇足(20談目)


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というわけで20談目です。この話は自分で締め切りを宣言しました。ちゃんと期間以内に描こうと思ったからです。極力時間をかけずに描くとどんな質のものができるのか、純粋な自分の実力が知りたかったというのもあります。ページ数も14ページくらいに抑えました。本当は黄泉の世界にいたババアが止めてくる展開とかもあったんですけど時間の都合とそれは俺がやりたいだけのことであって読者は求めてないんじゃないかと思たので割愛しました。

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結局何もしてこなかったババア

結果なんか打ち切り漫画みたいな巻き巻き展開になってしまいましたがだいたいやりたいことはできたしちゃんと強調したいところは強調できたのでよかったかなと思います。

まとめ


肝試し編を経て様々なことを学びました。

キャラの動かし方、構図、テンポ、手の抜き方など途中心が病んでしまうこともありましたがこうして無事終了し、誰得な記事として消化できたのはとてもありがたいことです。

これからもたくやかつみの漫画をよろしくお願いします!

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*1:1話刻みであればニコ静版でもスマホで読めるようになっているんですけど作品ページはなぜかPC仕様みたいです。アプリを入れていれば大丈夫なのかな?

*2:読んでいただければわかると思いますが初期と後期でデザインが結構変わりました。