語りたい
たくやかつみです!
このたび人生初の読み切り漫画を投稿しましたが見事に落選しました。
今回はそんな駄作「7人の高橋さん」を原作者自ら紐解き、反省していきたいと思います。
7人の高橋さんとは?
7人の高橋さんとは私たくやかつみによる作品であり、同作者の読み切り漫画では初めて公表されたものであります。
内容は高橋望という女性がそれぞれ違った人生を歩んできた同一人物(高橋望)と生活するというもの。7人同一人物ゆえに同姓同名なのでそれぞれあだ名で呼び合います。
登場人物*1
高橋望(プレーン)
一応主人公ポジション、これといってやりたいこともなく普通に大学を卒業し普通に企業のOLとして生きている
ただ人と違うところといえば6人の自分と共同で生活していること
ほか6人よりネガティブなところがある
通称プレーン
高橋望(医者志望)
幼いころに事故に遭い、生死を彷徨うが一命をとりとめる。
それを機に医者を志し現在医学部に在学中
7人のなかでは一番頭脳面で強いが頭が堅い。頭に当時の傷跡がある
通称ドクター
高橋望(小説家)
空前のなろうブームにあやかって小説家を志す。
現在は現実が見えてきたのかライターのアルバイトをしている
ほか6人より哲学的で現実的な性格。喫煙する
通称ラノベ
高橋望(イラストレーター)
高校卒業後専門学校にも行かず独学で絵を描いている。
本人曰く情報化社会において学歴は必要ないとのこと、ただフリーターでの仕事に追われほとんど描いてない
現状に不満があり基本機嫌が悪いが根はいい子
通称バイト
高橋望(公務員)
安定した生活を望みそこそこいい大学をでて公務員になった。
生活の資金面において一番支えている存在
ほか6人より几帳面なところがある
通称レール
高橋望(遊び人)
唯一の彼氏持ち、ほか6人よりは自分に肯定的なところがある。
幼い頃に両親が離婚した世界線で、再婚相手の夫がハズレだったため家出したという一番ヘビーな過去を持つ
基本的に彼氏の家や外に遊びに行っていたりパートに行っているので滅多に帰ってこない
家に彼氏を連れ込むことができないのが不満な点
ムードメーカー的存在であり、いつもなにかと褒めてくれるのでほか6人には好かれている
喫煙する
通称ビッチ
高橋望(ニート)
こちらも遊び人と同じく両親離婚ルート出身だが遊び人より早い時期に離婚している
その時の母子家庭で色々悟ったのかほか6人より特に冷静沈着な性格
ただ遊び人と違って母の再婚相手が大当たりだったためニートながらも一人暮らしが実現した
しかし守銭奴的なところがあるため必要最低限なことにしかお金を使いたがらない
ニートのくせに時々核心をついてくるがニートなので一蹴される
通称ニート
伝えたかったこと
ものにもよりますが物語は基本的にある程度作者が読者に伝えたい思想などを伝えるためのツールとして使われることが多いです。特に読み切りとなればなおさらです。今作において僕が伝えたかったことは後天性の可能性についてです。全員が全員同じ高橋望なのに生まれてきた環境、志が違うだけで性格も違います。
とまあこんな感じでできるだけ矛盾点をなくすために先天的性格とか後天的人格とかいろいろと調べたりもしたんですけど今言ってしまうと全部後付けなんですよねこれ
もともとは「多重人格の話」*2と藤子F先生の「自分会議」という短編*3と設定被りしてしまったため没にした2作を合体させただけです。そこに伝えたいこととかも特にありませんでした。
ただ当時この作品を描こうと思っていた当時の僕は酷い自己顕示欲と孤独に悩まされて精神的にかなり不安定だったので自分同士で会話とかしてみたいなぁとか思ってたこととかもあります。
僕は基本的に最初は言わせたいセリフとか描きたい構図とかそういう他愛もないことから物語を脚色していくタイプなのですが、今回は自分でもなかなかよくできた設定世界観だなと思っていました。しかしいざ描いてみると、でるわでるわの粗の数々です。
反省点
まずは一体何がいけなかったのかということを箇条書きしていこうかなと思います。
- プロットをしっかりと書かなかった
- 連載向けの内容を無理やり読み切りに移植した感が強い
- 構図がワンパターン
- 物語の結論に自分自身が納得いかなかった
などなどがあげられます。順を追って説明いたします。
プロット
まずはプロットをしっかりと書かなかった点ですね。
プロットというのは物語の骨組みのことです。
導入はどうするか、どういうオチにするかという起承転結の「起」と「結」だけでもこの段階でプロットとして決めておくとだいぶ安定して作業が進みます。
僕はプロットを書かずにノリとその場の感覚で物語を進めてしまいました。
結果あのグダグダです。
ノリでキャラを動かすというのは基本的に継続して行う連載などにおいては大変便利なテクニックですが読み切りにおいては悪手です。
連載予定だった
なんかさっきまでキャラを動かすからどうたらこうたら書き並べた後だと言い訳臭いですが事実です。当初は連載作品にする予定だったんですよこれ。
ただなんというかコンテスト用の作品ってなんか受賞後に連載化することあるじゃないですか、だから真っ先に使うならまずこれかなぁと思ってチョイスしたわけですがやっぱり連載向きだったんですね。「私は取り得ないから~」あたりのくだりとか唐突すぎてダメですよね。自分が一番よく理解しているんです。でもあそこ入れないとほんとに女の子が無意味に食って喋るだけの漫画になってしまうんですよね。
構図
話自体が飯食いながら延々と話し続けるだけなので仕方がないとも思いますがとにかく同じようなコマが多いです。自分でもわかっていたのですがどうしても改善できませんでした……。これは単に技術不足です。いくら設定がよくて内容が優れていたとしても漫画としてのテンポや構図がダメだと作品自体の質も下がります。読んだことはないですがサムライ8がいい例です。
オチに詰んだ
特に問題なのはこれです。オチです。
一応考えてはいたんです。平凡なことにコンプレックスを抱く高橋プレーンちゃんが最終的には普通である自分を受け入れるラストにしようとは思ってたのですが、そこで筆が完全に止まりました。期間にすると三か月くらい。
そもそも僕自身が普通を恐れているというか、アイデンティティの塊なので普通でいいじゃんというこの物語の趣旨とは正反対の性格なんですよね。
しかもこれを描いていた当時は承認欲求不満すぎて、常に目立っている人と自分を比べては嫉妬していたので完全に詰んでいました。物語を作る者としては絶対にあってはいけないことを犯していたのです。
たくやかつみ的創作理念
これは持論ですが、物語を作る人間は常に中立に客観的に物事を見なくてはいけません。創作とは大きく言えば世界構築です。作者の今まで積み重ねてきた経験思想などが世界の基盤として形成されます。なので思想が偏っているともちろん物語の世界は閉鎖的になり、悪い意味での非現実となります。かといって神羅万象すべてにおいて客観的に観察できる人間などいません。ある程度は軸というものがあります。つまり身の丈にあった世界しか構築できません。
今回の僕は身の丈に合わない自分でも制御できない世界を作り上げてしまったことになります。結果があれです。
凡庸な魅力
今作において最も重要であり最も難解な課題です。普通であることにコンプレックスを抱くプレーン高橋さんに普通だということを納得させたうえでそんな自分を肯定させることがこの物語の最大の山場でした。これは同じように普通でありたくないと思っている自分に対しての挑戦でもありました。普通を何より恐れる人間が普通を賛美しようとしていたわけです。結果この問題は解決することはできませんでした。自分の限界を思い知らされとても悔しかったです。
次回作
以上の反省点を踏まえた次回作は実はもうプロットが完成しているのであとはネーム描いてペン入れするだけです。まあその工程が難しいわけですが……
次作は完全に連載とか関係なく1本で完結させる出来になりました。
課題としてはちょっと長くなりそうなのでなんとか30ページ以内に抑えることでしょうか、最近はテンポいい漫画は評価高いですからね。
それでは次作の反省会でまたお会いしましょう。